斉藤名穂ワークショップ「記憶の空間を旅しよう」

3月16日、デザイナー/建築家の斉藤名穂さんが制作した ‘旅する家具’を用いて、ワークショップ「記憶の空間を旅しよう」を行いました。

匂い、音、手触りなどの感覚とともに思い出す大切な空間。
誰しもが、そんな大切な記憶の空間を、持っているのではないでしょうか。

でも、私たち個々人にとって大切な日常の記憶や感覚は、日々の暮らしや不意の事態の中で流れ、表にあらわさない内に、また気づかぬ内に消えてしまいがちです。

個々人にとってのそうしたものを振返り、もう一度確認し、他者と分け合い、あらためて胸に刻んで、再び前に踏み出していくような時間を作りたい、と思いました。

参加者は「大切な木と、その木がある場所」をテーマに話の糸口となる品々を持ち寄り、それぞれの感覚が導く記憶の空間について、皆で話し、味わい、シェアしました。

福島のおばあさまのお宅の風呂を思い出す、石鹸とマッチ箱、幼い頃、‘お花畑’と呼んでいたヤマブキがのく草藪を思い出す、黄色いトレーシングペーパー・・・当日は、十人十色の感覚と記憶を堪能する旅となりました。

参加者が集い、使った家具と器一式は、斉藤さんが制作した作品《Tea Party on the border》。
‘旅する家具’の異名を持つこの作品、すべて折り畳んで1つの箱に納めることができます。
ワークショップは2回、1回目は参加者の前で箱から取り出し組み立て席について頂くことに始まり、2回目では最後に家具をばらして箱にしまうまでをワークショップとして行いました。

なお、このワークショップの記録展示を、カフェ内で行っています。
ヤマザクラで制作したリスニングボックスでは参加者のお話が聞けます。
ドキュメントブックを繰りながら、ぜひお楽しみください。

書き手:中野詩(教育プログラムコーディネーター)
写真:石井一十三

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