60歳以上対象 倉本麻弓ワークショップ 「小箱で語る夢日記」鑑賞茶話会

3月24日、美術家・倉本麻弓さんが2月にシニアの方々を対象に行ったワークショップ「小箱で語る夢日記」の鑑賞茶話会を行いました。この茶話会では、芸術館と市内2カ所の高齢者施設で行ったシニアワークショップの参加者が一堂に介し、倉本さんとともにカフェに展示された自分の作品や、倉本さんの作品展「夢のまち」を鑑賞しました。

茶話会にお越し頂いたのは61歳~86歳の方、総勢25名。高校生カフェスタッフの案内でセルフサービスのお茶を汲み、鑑賞茶話会開始。倉本さんの作品にまつわるお話しのあと、白手袋をつけて自分の作品が展示されている古い大きな引出し箪笥から、自分の名前のついた引き出しを探します。それをテーブルに並べて皆でぐるぐる回って鑑賞。3施設分の作品と夢日記は見応えがあり、自分の作品について説明したり、感心した作品をカメラにおさめたり、あちらこちらで談笑の絶えない茶話会となりました。並行して倉本さんの「夢のまち」展を、数名ずつ作家の説明付きで鑑賞しました。

2月に行われたワークショップ「小箱で語る夢日記」の内容を少しお話ししましょう。参加者は寝ている時に見た夢のうち、印象に残った1場面について思いを巡らし、事前に配られた「夢メモ」の質問にそって、スケッチや言葉やイメージを書きつけます。ワークショップ当日、持参した「夢メモ」をガイドに、倉本さん特製の蓋つき小箱の中に夢の1場面を作りました。

これは講師をつとめた倉本さんと、まったく同じ作品制作のプロセスで、黄ボール紙の箱などの材料や制作のコツも倉本さんにならいました。さらに夢の内容をスタッフが聞き書きした「夢日記」も、日記風にきちんとデザインされて作品の横に添えられました。自分が話した思いや考えが他者によって表現され、整えられ、改めてそれ客観的に読み返すという体験は、日頃、他者によって語られることの多い作家の疑似体験とも言えます。これらの体験を通して、作家という存在や作品を、より身近に感じて頂けるようになるのではないでしょうか。

その後は希望者の方のみ、ギャラリーで開催中の「坂茂展」鑑賞ツアーへ。先導役を担うのは参加者と同じシニア世代のボランティア・CACギャラリートーカー。ワークショップもサポートした同じ世代のトーカーさんに、参加者の方々もすっかり馴染み、楽しくお喋りしながらの坂展鑑賞ツアーとなりました。

茶話会の後日談。その後、お1人で何度も、またはお孫さん、旦那様や奥様を連れて、カフェに足を運ばれる参加者の方々をお見かけしました。また「茶話会には来れなかったけど自分のが見たくて・・・」といらした方も。現代美術ギャラリーは65歳以上が無料なのと、カフェで1ヶ月間展示しているので、何度もいらして頂けるのですね。このワークショップをきっかけに、ご年配の方々がギャラリーに足を運んで下さるようになればいいな、と思います。

書き手:中野詩(教育プログラムコーディネーター)
写真:小泉英理(学芸アシスタント)

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